上部内視鏡検査(胃カメラ)
目次
上部内視鏡検査とは?
当院で使用する上部内視鏡(胃カメラ)は5mm径と非常に細く柔らかなスコープです。モニター上に映し出される画像も非常に鮮明で高画質です。この細いスコープを鼻や口から挿入し、食道・胃・十二指腸の状態を観察します。症状を今引き起こしている部分を診るだけでなく、まだ症状が現れる前の気になる微細な病変やがんの有無を精度高く診断いたします。必要に応じて胃の粘膜の一部を採取し(生検)、組織検査を行うこともあります。
上部内視鏡検査で見つかる主な疾患例
- 食道がん
- 逆流性食道炎
- 胃がん・十二指腸がん
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- ポリープ
- ピロリ菌感染
- 急性胃炎・慢性胃炎
自分らしい検査スタイルを―
当院では経鼻内視鏡と経口内視鏡のどちらかを患者さん側で選ぶことができます。その他、鎮静剤の使用など一人一人の患者さんにとってより良いアプローチとなるように、検査方法の希望には細かく対応しています。患者さんの大切な時間とお金を費やして行う検査です。辛い苦しい思いや必要以上の我慢を強いるものであってはならないと私たちは考えています。診察の際にはぜひご自身の希望イメージを遠慮なくお伝えください。内視鏡検査に対する不安はどんな小さなことでもスタッフまでお気軽にご相談いただければと思います。
内視鏡検査の流れ
鼻から入れる内視鏡(経鼻内視鏡)のメリットとデメリット
経鼻内視鏡は口から入れる場合に比べると嘔吐反射を起こすことがほとんどなく、非常に楽に検査が受けられます。検査中にモニターを見ながら会話をすることができるので、その場で医師に質問することも可能です。ただし、鼻腔の大きさは一人一人異なっています。検査前に鼻にスティック状の麻酔薬を挿入する際、鼻腔の大きさは必ず確認しておりますが、ときどき鼻炎やアレルギーなどで鼻の奥が著しく腫れるなどして内視鏡が入らない場合もあります。その際には検査を中止することもありますのでご了承ください。
口から入れる内視鏡(経口内視鏡)のメリットとデメリット
経口内視鏡は非常にスタンダードな検査です。舌のつけ根を通って胃内部にカメラを挿入するため、強い嘔吐反射を起こすことがあります。しかし、当院で使用している内視鏡は5mm程度の細さであるため、ほとんどの患者さんが苦痛を感じることなく検査を終えられています。内視鏡の素材自体も非常に柔らかいファイバーでできているため痛みの心配もありません。経口の場合は経鼻のように人によって入らないという問題はなく、麻酔をかける時間も経鼻に比べてとても短時間で終了できます。ただし、検査後すぐはのどの奥の麻酔がまだ効いていることが多いため、食べ物の飲み込みが少し難しい場合があります。
(例)経鼻内視鏡検査の流れ
- 消泡剤を飲みます
胃の中の泡を取り除いて胃壁をきれいに観察しやすくするために、まず消泡剤を飲んで準備します。 - 鼻腔に局所血管収縮剤をスプレーします
鼻の奥に鼻腔粘膜の血管を収縮させる薬を吹きかけます。出血を防ぐ効果があるとともに、鼻の奥の腫れを抑えるなど鼻腔の大きさを広げるために必要な処置です。左右の鼻腔に噴霧します。スプレーは風がシュッと入るような感覚で、特に痛みを生じさせるものではありません。 - 鼻腔に麻酔薬を注入し、局所麻酔を行います
小さな注射器型の注入器を用いて、左右の鼻のうち通りの良い方の鼻腔内に麻酔薬を注入します。少量の局所麻酔であるため、眠くなるなどの副作用は一切ありません。 - 麻酔薬を塗ったステックを鼻の奥に挿入します
ゼリー状の麻酔薬を塗った細くて柔らかいスティックを、鼻腔に挿入して局所麻酔を行います。鼻の中の痛みが大幅に抑えられることでスムーズな検査を行うことができます。その後、検査直前にはこのスティックをスライドさせることで麻酔の効きを確認しています。また、内視鏡のサイズに対して鼻腔の大きさが十分にあるかどうかも同時に確認しています。 - 鼻から内視鏡を通します
ゆっくりと内視鏡を挿入します。このとき多少の違和感はあるものの、鼻からの通り道(中鼻道など)に痛みを感じることはほとんどありません。内視鏡が完全に通るまでリラックスしてお待ちください。 - 食道、胃、十二指腸の中を観察します
食道・胃・十二指腸の順に観察してゆきます。当院では内部の映像を患者さんご自身の目でもしっかりと確認できるようにモニターを設置しております。医師とリアルタイムに状況を確認することが可能です。経鼻内視鏡においては会話が通常通りできるため、疑問点などその場で医師に質問することも可能です。所要時間は5分程度です。 - 検査が終わったら
検査後は内視鏡で撮影した画像を再度ご覧いただきながら詳しく現状をご説明いたします。患者さんにとっても納得度の高い検査となるように、できるだけわかりやすい表現を用いてご説明するよう努めています。疑問や不明点などは随時ご質問ください。鼻に施している麻酔は眠くなるものではありませんので、検査終了後はすぐにお帰りいただけます。約30分程度で麻酔の効果も消えて通常通りの飲食が可能になります。
細胞を採取するなど組織検査となった場合には、診断には1週間から10日ほどのお時間を要します。
料金目安
初診料・前処置薬剤・採血 | 2,000円~3,000円 |
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胃内視鏡(検査のみ) | 約4,000円 |
病理細胞検査(追加費用) | 3,000円~6,000円 |
合計 | 6,000円~13,000円 |
検査後にお薬を処方する場合がありますので、約15,000円程度御用意ください。
検査時の注意事項
検査前日
夕食は前日の夜9時までに消化の良いものを中心に摂るようにしてください。
水分(お茶やお水などの透明な飲料水)は、検査当日の午前6時半まで可能です。
検査当日
朝、食事は召し上がらずにお越しください。
朝飲むべき薬がある場合には医師の指示に従ってください。
検査中
検査はベッドに左向きに横になった状態で行います。
検査時間はおよそ5分ほど。モニターを見ながら質問することも可能です。
精度の高い診断を行うために、臓器内部に色素をまいたり組織を一部採取することもあります。
Q&A
患者さんからよくいただく質問にお答えします。
Q. 内視鏡検査に必要な時間は?
A. 検査自体は約5分程度で終了できます。処置が必要となった場合や組織検査を加える場合には多少の時間延長が考えられますが、比較的短時間で行うことができます。
Q. 検査で感じる痛みはどの程度ですか?
A. 痛みの感じ方は人それぞれです。一概には言えませんが、当院で検査を終えられた患者さんからは「ほとんど痛みを感じなかった」という声を多数いただいております。検査前には鼻やのどの奥など必要な箇所に麻酔を施しておりますので、痛みを感じることはほとんどありません。その他にも患者さんへの負担を最小限に抑えるための工夫を随所に取り入れております。不明点やご心配のある方はお気軽にスタッフまでお声掛けください。
Q. 鎮静剤はどのような場合に使用しますか?
A. そもそも鎮静剤は適切な使用ができる医師や施設でのみの利用に限られています。当院では患者さん側からのご希望に応じて鎮静剤を使用した検査を実施しております。鎮静剤を使用すると、寝ている間に検査を終えることができます。検査中はもちろん痛みを感じることはありません。ただし、検査後は当院のリカバリールームにて1時間程度の休息が必要となります。人によっては鎮静剤の影響が多少残る可能性もあるため、検査当日は自動車やバイク、自転車の運転等は安全上の理由で利用できません。妊婦さんも身体の安全上、鎮静剤の使用は避けるようにしています。楽に検査をお受けいただくことが大前提の鎮静剤ですが、患者さん一人一人に応じた適切な量を事前に検討し使用するようにしています。必要以上に帰宅時間が遅くなったり、気分が悪くなるようなことはほとんどありませんのでご安心ください。
Q.検査後の食事制限はありますか?
A. 食事制限は基本ありません。経口内視鏡の場合は、のどの奥の麻酔がしばらく効いている関係で検査後すぐはむせやすいため、飲食については検査後30分程度経ってから摂るようにしてください。
胃がん検診を受ける意義
まずは検査を受けなければ、胃内部の異変や早期がんを見つけ出すことは不可能です。また、近年メディアでもよく取り上げられている「ピロリ菌」の診断も、内視鏡検査においては非常に重要視されるべき項目です。ピロリ菌がいる場合には早期に退治することが胃がんの予防には効果的であり、逆にピロリ菌がいない環境下であることが確認できれば胃がんリスクは大きく低下します。ご自身の胃がどのような状況にあるのかをまずは正しく知るという意味においても、内視鏡検査はとても価値があるものだと私たちは考えています。その他、原因不明の不調が長く続いている場合や胃炎の症状などに心当たりがある方などもご自身の生活習慣を見直す良い機会として胃内視鏡検査をご利用いただければと思います。